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産地訪問
2021.07.05産地訪問
長野県:谷口さんのグリーン
長野県の生産者様、谷口さんの圃場を訪問しました!
広い空、辺りを囲む緑、緑、緑。人気の葉物・枝物を全国へ送り出している、自然いっぱいの圃場です。
(緊急事態宣言解除後の訪問です)
現時点で出荷が終わっていたり、終わりがけのものもありますが、せっかくなので少しご紹介させていただきますね。
まず初めに見せていただいたのは、もくもくのスモークツリー。背丈を低く仕立ててあり、密度の高いもこもこな花がキラキラと光って、足を踏み込むとまるで彩雲の上の様で幻想的でした。
スモークツリーの和名はハグマノキといって、「ハグマ」とはお坊さんが使う払子という仏具や武将の采配の先に付けられる毛の飾り、また毛を取った動物のことを指します。
きっと名付けた人も、花穂の毛のようなふさふさ具合に感心したのでしょうね。
「白熊毛采配」の棒の先につけられている毛は、想像上の獣である白熊(はぐま)の毛と考えられていました。想像上の獣の毛をどうやって手に入れたのでしょう?本当はチベット・北インドなどにいる牛の一種「ヤク」の毛なんです…!#担当のおすすめ pic.twitter.com/QiJa7hjgip
— 徳川美術館かろやかツイート (@tokubi_nagoya) June 24, 2020
スモークツリーは草木染でオレンジ色の染料としても使われ、中国の清の時代には皇帝が切る着衣の黄色を染めました。
この風習が伝わった日本でも黄色は高貴な身分しか身に付けられない「禁色」とされ、黄櫨染(こうろぜん)という染物として今も残っています。最近では、上皇陛下が退位の儀式にお召しになっていた束帯の色ですね。
日本の黄櫨染は別の植物で染められたものですが、そんな伝統ある色とスモークツリーに関係があったと思うと、ちょっと意外な気がしませんか?
和にも洋にも合うミズキの枝は、全国からひっぱりだこのグリーン。繊細な葉脈の谷折り山折りが爽やかですね。
こちらは本格的に夏入りすると日差しで葉が焼けてしまうので、綺麗な葉を楽しめるのは梅雨が明けるまで。ちょうど今の時期までになります。
収穫後の枝はカバーで覆われており、そうすると乾燥が防げるとのことでした。
枝物や草花の中でも自然の賜物だなあ…と見とれてしまったのが、コケのついた枝物。
このコケはコケは昨今流行りの苔テラリウムに使われる苔とは別物で、地衣類と呼ばれる菌類と藻類が共生した生き物です。
木にくっついた地衣類はキノコと同じようにそれ単体では栄養を得ることができないので、共生している藻類(=共生藻)に光合成をしてもらい、養分をわけてもらっています。
そのため日当たりのよい環境だと良く育ちますが、それでもコケが定着して大きくなるのには長い月日がかかります。
そしてここ谷口さんの圃場は小さな盆地になっているため、湿気があって風で飛ばされにくい、コケにとっては大変居心地のいいところ。
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コケが付く木・付かない木もあるようですから、様々な条件が揃ってはじめてできるものなのですね。わざわざグルーガンでコケを枝に付けて作った物があるくらいですから、天然ではとても貴重な枝物なのです。
一般のご家庭から料亭や都会の旅館まで飾られる枝物。今回はその故郷の一つをご紹介しました。
何処から来たのかな?と想像しながら鑑賞すると、もっと大きな自然を感じられてより楽しいかもしれません。
営業企画部