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産地訪問

2022.07.26産地訪問

【産地訪問+@】”パワーストーン”のトルコキキョウ【長野県:力石】

今回はトルコキキョウ栽培のはじまりの地、 長野県力石 からお届けします!トルコキキョウの栽培と品種改良の先駆けとなった国は、実は戦後の日本、それもこの力石でした。

【#産地訪問+@】力石のトルコキキョウ編

(このブログの動画→近日公開!)

力石は長野県千曲市の南部に位置する地域。千曲川がもたらす豊かな水と肥沃な土地に恵まれ、古くから人々が暮らしを営んでいた土地です。
どのくらい「古くから」なのか?…その歴史はなんと、弥生時代まで遡ります。

「力石」はいつから?

(千曲川)

この地域では7年間に及ぶ発掘調査(2001年~)により、弥生時代の初め(約2200年前)から人々が生活し、稲作を営んでいたことが明らかになりました。

農耕文化は大河の周りで育つものですが、それもそのはず。力石の北部を流れる「千曲川」は新潟県に入ると「信濃川」と名前を変える川なのです。信濃川といえば、米どころで有名な越後平野の水源として有名な河川です。その上流にあることを考えると、力石で古くから稲作が定着したのも納得ですね。

(→同じ千曲市の姥捨は、美しい棚田の名所です。もちろん姨捨山伝説でも有名。)

「力石」という地名は、千曲川の大水で流れてきたという大きな石に由来しています。

かつての村人は大きな石を持ちあげることで力の強さを競い合い、また自然がもたらした石そのものを崇拝する信仰を持っていました。こうした力石文化は全国各地にありますが、「力石」と地名になっているのは千曲市力石を入れてわずか2か所だけなのだとか。

(*余談*四日市大学の高島愼助先生が全国の「スポーツ文化遺産としての力石」について研究されていますので、気になる方はGoogleスカラーで「力石 高島」と検索してみてください。ページを送れど送れど一面同じ著者というなんともニッチな研究です。)

江戸時代中期になると養蚕業が盛んになり、商業も発展。さまざまな職を持つ人々が集い、「田舎の江戸」と呼ばれるほどの繁栄が続きました。

トルコキキョウのはじまり

(昔は山頂からの見張りに使われていたという岩井堂山。更級富士ともいわれる綺麗な山です)

時代が進み、養蚕業が衰退してからも、力石の人びとは生きるすべを模索し続けました。昭和には今にもつながる、りんごと花卉の栽培が始まります。

戦後の高度経済成長期に入ると、いよいよ 日本で初といわれるトルコ桔梗の栽培をスタート 
トルコ桔梗はもともと北アメリカ原産で、切り花としてはあまり生産されてこなかった植物でしたが(トルコとは特に関係ない)、力石をはじめとした日本での育種改良によってポテンシャルを開花させました。今では様々な花色、かたちの品種が世界でも生産されています。

→過去記事はこちら トルコ?キキョウ?ユーストマ??トルコ桔梗の本当の名前とは

そして2012年には、オランダのフロリアードで力石のコサージュ系3品種が上位に入賞。
コサージュ系は「コサージュ会」に所属している選ばれた生産者のみが栽培できる品種で、その名の通りコサージュのように大きく存在感のある花で知られています。

力石で生まれたパステル系はもちろん人気ですが、マスタード色のような渋めの花色も開発され、若い世代のお花屋さんにうけているのだとか。「研究熱心で勝気」といわれる力石の人びとの“パワー”で、今もトルコ桔梗の栽培をリードし続けているのです。

おまけ:アメリカで買うといくら?(ウォルマート)

日本で育種・栽培が始まったとなると、海外ではまだ高値なのかしら?と思い検索すると、アメリカのスーパー・ウォルマートのオンラインストアが出てきました。

価格を見てみると30本で159.98ドル、単価にすると727円くらいです(2022年7月時点)。おお…
小売価格とはいえ、スーパーでこれはかなり高級品ですね。

(次ページ:トルコ桔梗の栽培現場へ! >>)

 

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