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2021.07.31展示

【展示】アジサイはなぜ色を変えるのか

アジサイの“心変わり”はなぜ


(ガクアジサイ)

ではアジサイに当てはめて、フレッシュからアンティークへと色を変える理由を考えてみましょう。

アジサイの原種であるガクアジサイのポリネーターは、人気の高いマルハナバチではなくハナアブやハエなどの地味めな虫。マルハナバチが大好きな蜜のおもてなしをする必要がないため、写真のように花粉が多い小さな花をまとめてつけます。

目立たない本物の花を色づいたがくが華やかに取り囲んでいる様子をみると、花びらの代わりににがくで①ブーケ作戦をとっているように思えます。アジサイは面の広いお花ですから、虫が無駄にウロウロしないように②お歯黒作戦で色を変える必要もありそうですね。

アジサイは花びらではなく、がくの色が変わる植物ですが、 古い花と同じように全体のボリュームを出し、受粉が済むころには色を変えている のではないか?と私は考えています。
花びらに見える部分に色がつく植物だと、ポインセチアにも似たものを感じますね。

まとめ


(展示より)

すっかり華やかな八重咲きに改良されて、なんとなく「受粉」というイメージの薄いアジサイですが、「虫を呼んで受粉してもらう」という花本来の役割はまだ覚えているようです。

ただ、紅葉するように色が深まる秋色アジサイの色変化には謎が残りました。
女心と秋の空…に負けず劣らず移ろいやすいアジサイの色。そんなミステリアスなところも、アジサイに心を奪われる理由の一つなのかもしれません。

営業企画部

<今日の単語> ポリネーター pollinator
pollinate(動詞:受粉させる) → 受粉させるもの 花粉を運んで受粉させる鳥や虫などの動物のこと。送粉者、花粉媒介者、授粉者とも。

参考文献

鈴木美季ら.2011「生物間相互作用がもたらす形質進化を理解するために:『花色変化』をモデルとした統合的アプローチのすすめ」日本生態学会誌 61:259 – 274
伊藤大輔ら.2007「P-73 単一細胞分析によるアジサイの花色変異機構の解明(ポスター発表の部)」天然有機化合物討論会講演要旨集 49(0), 455-460

吉田久美ら.2008「Change of color and components in sepals of chameleon hydrangea during maturation and senescence」Phytochemistry
Volume 69, Issue 18
小玉雅晴.2017「アジサイの花色の発色機構に関する研究」筑波大学博士論文要約より

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