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2021.06.19展示
【6月のゆりの展示会】百の集合、多彩な百合の花
いいとこどりの新系統たち
OT…オリエンタル・トランペット系
(展示より 左:“ゼルミラ” 右:“バルファスト”)
華やかな女王の「O」、色彩豊かで小柄な「A」、鉄砲ユリの「L」、トランペット型の「T」、ユリはヨーロッパで盛んに品種改良され、いいとこどりをした新しい交配種が生まれています。
もともと西洋の花ではなく、日本へ逆輸入されたような形だったのですね。東方から持ち込まれた品種が改良された、というと少しバラに似たところを感じます。
OT(オリエンタル・トランペット)系はオリエンタル系とトランペット系からの交配種で、オリエンタル系の甘い香りと華やかな花形とトランペット系の幅広い色調を受け継いでいます。
LA…ロンギフローラム・アジアンティック系
(展示より 左1:“フォークランド” 左2:“トスカニーニ”)(右1:“ドゥカティ” 右2:“レッドアラート”)
LA(ロンギフローラム・アジアンティック)系は鉄砲ユリとスカシユリの交配種。
ロンギフローラム系のトランペット状の花ともちの良さ・アジアンティック系の色味の豊かさと上向きに咲く性質をそれぞれ受け継いだ、交配種の中で最も数の多い品種です。
アジアンティック系よりも花が大きく柔らかく開いて、鉄砲ユリにはない情熱的な色味の花が展示されていました。
独特な斑模様が入ったお洒落な品種もあります。
(“スイートシュガー”)
LO…ロンギフローラム・オリエンタル系
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LO(ロンギフローラム・オリエンタル)系は、ロンギフローラム系とオリエンタル系をかけあわせた新しい交配種。品種数はまだ少ないですが、オリエンタル系の豊かな香りをもちながら、鉄砲ユリに似てコンパクトな花になるということです。
はしやすめ:ユリの花の点々は何?
ユリの花をよく見てみると、花の中心部に点々と突起があるものがありました。これは一体…?
農研機構の大久保直美先生にお聞きしたところ、これは「乳頭状突起」と呼ばれる組織。
これ自体蜜は出しませんが、蜜を求めてやってくる虫を蜜腺へと誘導する役割を持つといわれているそうです。
八重ユリ
ユリの「花びら」は何枚か
突然ですが、クイズです。
ユリには基本となる花びらの数があります。それは何枚でしょうか?
①6枚 ②3枚 ③9枚
左のユリには花びらが6枚、右のユリにはもっとたくさんあるように見えますね。
左はスタンダードなユリの形ですが、実は花びらに見える6枚のうち外側にある3枚はがくで、外花被と呼ばれるもの。残りの3枚が内花被と呼ばれる本当の花びらです。
ということで、正解は②番の3枚!他にはチューリップなんかも同じ花のつくりをしています。
右側のような八重咲き品種は、突然変異によってさらに雌しべや雄しべが花びらになったもの。枚数ももっと増えていそうです。
人間や動物のからだでは親指が人差し指になったり、指が7本になったりということはなかなかありませんが、植物は割とカジュアルに花のパーツを入れ替えたり増やしたりします。
展示中のユリの中にも花びらが雄しべに戻りかけている花がありました。
そもそも花は葉が変化したものといわれているので、そんな大変身を経験している植物にとっては、少しくらいパーツが変わろうが大したことではないのかもしれません。
自然界では雌しべや雄しべが違うものになってしまったら受粉ができないので困りますが、このゆるさのおかげで品種改良が進み、私達は八重咲きの豪華な花を楽しめるというわけです。
ユリをもっと気軽に!
(ジョン・シンガー・サージェント 「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」 1885)
今でこそ冠婚葬祭に使う豪華で洋風な花といったイメージのユリですが、かつての日本では野に咲く身近な花として庶民にも愛されていました。
ふるさとの日本で、ユリが再び身近な花になりますように。「テーブルリリー」のように、花瓶に一輪だけ飾る気軽な楽しみ方もいいですね。
(営業企画部)
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