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2021.12.27ブログ
【#産地訪問+@】YouTubeで語れなかったお話。
【#産地訪問+@】愛知みなみフラワーステーション:ピンポンマム編
愛知の「マム」、知ってるだけではもったいない
「渥美半島の電照菊」といえば、小学校の社会の教科書に登場するほどの名産品。菊は愛知を「花の県」たらしめる大切な品目のひとつです。
しかし、愛知県の方であっても「生産現場を見たことがある」という方は多くはないのでは。かく言う私も愛知生まれ愛知育ち、かつ植物生産系の勉強をしてきた身ですが、実際の圃場を目にするのは初めてのことでした。皆さんもぜひ動画で圃場を見学されてみてください。
電照菊はなぜ電照するの?
現場の様子を見るなら、なぜ「電照」をするのか?ということも合わせて理解しておきたいですね。
菊は短日植物。短日植物というのは、一日24時間の中で光を浴びた時間が一定時間(=限界日長といいます)より短くなると花芽を作り始める植物のこと。逆に、光の当たらない時間が一定時間(=限界暗期といいます)より長くなると花芽を作り始める、という考え方をすることもあります。
いずれにしても、光が当たる時間が短くなる=日が短くなると花を咲かせる準備をする⇒夏至~冬に咲いて春のために種を作る植物ということですね。多くの菊の見ごろは秋ですから、何もせず育てれば日が短くなれば一斉に花芽をつけ、秋に一斉に咲きます。
この時、人間の方で光を当ててやれば花芽が作られるのを遅らせたり、畑ごとに開花の時期をずらすことができるのです。ということで、「花期のコントロールをするため(季節によらない周年栽培をするため)」というのが、なぜ電照をするのか?という問いの答えになります。
この電照菊栽培は昭和22年に豊橋市を中心に開始され、翌23年に愛知みなみフラワーステーションのある田原市でも開始しました。この技術により周年出荷が可能になり、日本でも有数の菊産地となったのです。昭和23年といえば西暦で1948年、かなりの歴史です。
なお、暗闇の中でランタンのように輝く田原市の電照菊は、日本夜景遺産に認定されています。
「日長を伸ばすという考え方なら、お日様と交代に電照すればいいのでは?」と思いますが、夜中にライトをつけるのは何も映えのためではなく、深夜の電照の方が花芽の形成を抑える効果が高いからなのだとか。
年末年始に「ピンポンマム」
「マム」とは海外で品種改良され、日本にやって来た洋菊のこと。いつもより和なテイストを楽しみたい年末年始には、和モダンなマムはいかがでしょうか。中でも真ん丸なピンポンマムは主役・脇役、和風・洋風を問わない使いやすいマムですね。
古来より菊は不老長寿の花とされてきましたが、現代の「マム」もその生命力・日持ちの良さをしっかり受け継いでいます。単価を考えても大変コスパがいい花材ですので、初心者にもおすすめです。
まとめ
今までにも何度も書いていますが、菊=お仏花というイメージだけで菊を敬遠してしまうのはもったいないこと。年末年始はマムを使ったお正月用のアレンジがたくさん出回りますし、私も色んなアレンジを参考にして飾ってみたいと思います。
動画では愛知みなみフラワーステーションの建物内の様子も見学していますので、ぜひご覧になってくださいね。
さて、2021年もお付き合いいただき誠にありがとうございました。初夏のホームページリニューアルも経て、よりブラッシュアップした記事を心がけて参りましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。
次回は初市、1月5日の更新になります。皆様もお身体にはお気をつけて、良い年をお迎えくださいね。
著/システム課 つみき
参考文献
電照菊栽培について,みんなのひろば植物Q&A,日本植物生理学会,2012/02/15,最終閲覧2021/12/25,https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2597
電照菊における光中断の最適時間について,みんなのひろば植物Q&A,日本植物生理学会,2007/06/30,最終閲覧2021/12/25,https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=1328
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