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2021.07.16展示

トルコ?キキョウ?ユーストマ??トルコ桔梗の本当の名前とは

展示ルームにて、 JAグリーン長野様のトルコ桔梗 を展示しました!ボリュームが素晴らしいですね。

市場では「トルコ」と呼ばれることの多いトルコ桔梗ですが、「なんでトルコ?」と思ったことはありませんか。「ユーストマ」「リシアンサス」と呼ばれることもありますよね。

周年栽培もされるメジャーな花ながら、バラバラの名前を持つミステリアスな存在。今回はそんなトルコ桔梗の名前の謎を解明していこうと思います。

 今回のもくじ

1 「トルコ桔梗」はトルコ生まれ?
 — トルコ桔梗のふるさとは〇〇〇〇
 — なぜ「トルコ」「桔梗」なのか
2 トルコ桔梗、またの名を
 — ユーストマ?リシアンサス?
 — 植物の二つ名とプラントハンター
3 日本とトルコ桔梗
 — 切り花開発の先駆けは日本
 — 周年栽培の獲得と高冷地
4 まとめ
 

トルコ桔梗はトルコ生まれ?

トルコ桔梗のふるさとは〇〇〇〇

「トルコ桔梗」と聞いてまず思うのは「トルコ生まれだからトルコ桔梗なのかな?」ということですが、実際のところはどうなのでしょうか。


(JAグリーン長野展示より 左:“ボンボヤージュミルク”、右:“セレブピンクダイヤ”)

実はトルコ桔梗の原産地はトルコではなく、アメリカ西南部、テキサスからメキシコにかけての石灰岩地帯。英名では「Texas Bulebell」と呼ばれることもあるようです。こうなるとアジアの風は全く感じられないですね。

日本には1930年代に導入されましたが、当時は周年栽培ができる花ではないうえ短茎だったため、切り花としては国内外ともにあまり注目を浴びていませんでした。草花のような扱いだったのでしょうか。
そしてまもなく、第二次世界大戦が勃発します。2度の世界大戦は多くの園芸植物品種をこの世から奪い去っていきましたが、ひっそりと息を続けていたトルコ桔梗も例外ではなく、海外ではほとんどの種が絶えてしまいました。


(JAグリーン長野展示より)

このまま日の目を浴びることはないかと思われたトルコ桔梗。この窮地を救った救世主こそ、「トルコ桔梗」という名前で呼び始めた国、日本の育種家だったのです。このことについては、また後でじっくりお話ししましょう。

なぜ「トルコ」「桔梗」なのか


(トルコ・イスタンブールのアヤソフィア)

「トルコ桔梗」という名前は日本独特の名前で、渡来して間もない頃の図鑑にも「とるこ桔梗」と記載されています。(『園藝大図鑑』)
「トルコ」の由来には複数説あり、

・花弁がくるくると巻いた蕾の様子がトルコ人のターバンに似ている
・原種の花の紫色がトルコ石のよう
・地中海の海の色(トルコブルー)を思わせる 

などなど。いずれも花の見た目からの連想ですね。

続いて「桔梗」の部分ですが、こちらも実は花の見た目によるもの。
原種に近い、一重で紫色のトルコ桔梗の花はたしかに桔梗に似ていますが、トルコ桔梗自体はリンドウ科の植物であり、桔梗の仲間ではありません。
トルコ由来でも桔梗由来でもないトルコ桔梗。おそらくこの名前が通るのは日本だけでしょう。


(桔梗はキキョウ科の植物)

ちなみに当のトルコではトルコ桔梗を「Lalegul(ラーレギュル)」と言います。
Laleはチューリップ 、Gulはバラ という意味なので、これまた花の見た目から付けられたものと思われます。
チューリップの語源であるTulipanはトルコ語でターバンのことなので、ここまでの文章をトルコ人目線で読むとなんとも不思議なことになってしまいますね。

トルコ桔梗、またの名を

ユーストマ?リシアンサス?


(サラ・ドレーク “The Botanical Register” 1845
写真の無い時代にはしばしば植物学者と植物画家がタッグを組み、ボタニカルアートとして記録していました。

トルコ桔梗は1830年代にイギリスのプラントハンターによって持ち込まれ、植物学者がリシアンサスLisianthus russellianumと命名したとされています。「トルコ桔梗」以外だとこの名前で呼ばれることが多いようですね。
Lisianthusはどうやらギリシャ語の「lissos(滑らかな)」と「anthos(花)」の組み合わせが由来と思われます(調査中)。

そして一世紀ほど後に別の人が「リシアンサスと命名されるより前に、もうすでに発見・命名されていたのだ!」と主張した学名がEustoma grandiflorum、これが「ユーストマ」という名前の由来です。
リシアンサスもユーストマも、どちらも学名由来の名前ということですね。ちなみにeustomaはラテン語で「eu=良い stoma=口」という意味です。

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