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花の研究室
2022.07.06花の研究室
自然の絵具?花の色素とそのしくみ
梅雨が明けて一気に暑くなりましたね。
ハイビスカスを市場で見る機会が多くなり夏だな~と感じています。
夏といえば水遊び!幼稚園の頃、ビニール袋に花弁と水を入れて揉む色水遊びが大好きでした。真っ赤なサルビアから出るやさしいピンク色を今でも覚えています。
今日はそんな花の色の素、色素について書いていきます。
植物色素の王様
花の色は主にフラボノイド、ベタレイン、クロロフィル、カロテノイドの4種類の色素によって発色しています。
それぞれが何色を発色させているのか紹介していきます。
フラボノイドの中でフラボン系とアントシアン系の2つが特に花色に関与しています。フラボン系は白や黄色、アントシアン系は赤~紫~青の色素を持っています。紫キャベツの色はアントシアン系によるもので、煮汁にレモン汁やお酢(酸性)をかけるとピンクに、重層(アルカリ性)を加えると青に、とpHの変化によって色が変わります。
アジサイもアントシアン系の色素を持ち、土壌のpHが変化すると花の色が変わります。
しかし酸性で青色、アルカリ性でピンクと逆の変化をするようです。
詳しくは過去の記事をご覧ください→ 【展示】アジサイはなぜ色を変えるのか
ベタレインはナデシコ目(サボテンやオシロイバナ、マツバギクなど)の植物にのみ存在する色素で、赤~紫を発現させるベタシアニンや黄~橙を発現するベタキサンチンなどがあります。また、ボルシチなどに用いられるビーツ(赤カブ)の赤色もベタレインによるものなのです。
フラボノイドとベタレインは水溶性の化合物なので、この色素を持つ花で色水遊びをすると特に色がでやすいといえるでしょう。
クロロフィルは生物の授業などで聞いたことがある方が多いかと思います。緑の色素で光合成に作用しています。茎や葉っぱはもちろん、多くの花ではつぼみにも含まれていて、そのまま花弁にクロロフィルを持った緑色のバラやカーネーションなども存在しています。
カロテノイドは赤、橙、黄を発現させる色素です。トマトの赤(リコピン)やニンジンの橙、カボチャの黄色(カロテン)など緑黄色野菜を想像してもらうとわかりやすいかと思います。
クロロフィルとカロテノイドは上で紹介した色素とは異なり親油性の物質です。(緑黄色野菜は油と一緒に食べると吸収がよくなるというのはこのため)
組み合わせ
ではこの4種類の色素が組み合わさるとどのような色になるのでしょうか?
チョコレートコスモスのような上品な茶色はアントシアン系とカロテノイド、またはクロロフィルが一緒に存在することで発色します。紫とオレンジまたは赤と緑を混ぜると茶色になるのは絵具と同じです。
黒色を発現させるためにはアントシアン系、カロテノイド、クロロフィルの3種類を組み合わせます。こちらも絵具と同じですね。
(次ページ:白の色素)
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