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産地訪問

2021.03.01産地訪問

【産地訪問レポート】愛知県愛西市:渡辺隆さんのカラー

 
今年度もとうとう終わりがけ。少しずつ空気が春めいてきましたね。
 
さて、バレンタインが過ぎ、次にやってくるのはホワイトデーです。
日本ではバレンタインのお返しをする日として定着していますから、
チョコのような定番アイテムが無いホワイトデーこそ、花贈りを勧めるチャンスかも。
 
 

ホワイトデーの花はカラー。なぜ?

 

バレンタインの花として一番人気はやはり赤バラ。

これに対して、ホワイトデーの花はカラーとされています。

 

 

カラーという名前は、一説では修道女が付ける襟=カラーに由来すると言われ

乙女のしとやかさ」「華麗なる美」「清純」といった花言葉があります。

 

黄色・紫・ピンクと花色は幅広いですが、カラーといえばやはり無垢な白色。

すらっと清楚な咲き姿の白のカラーは、ブライダルによく使われていますね。

 

またハウス内が十分に温まり、かつ暑すぎない3月はカラーが見ごろとなる季節でもあるため、

3月14日のホワイトデーにはぴったり。

主要な産地である千葉・愛知・熊本県では、「ホワイトデーはカラーを贈る日」

を広めるべく毎年キャンペーンをしているんですよ。

 

というわけで、

 

・純粋さ、清楚さを感じさせる花である

・3月が旬である

 

これらのことから、ホワイトデーにはカラーがおすすめされているのです。

カラーをメインにした花束は大人っぽく、洗練された雰囲気。

バレンタインのお礼と合わせたプロポーズのお花にしても素敵ですね。

 

 

今回の産地訪問ではそんなカラーの生産者、

愛知県愛西市渡辺隆さんの圃場を見学させていただきました!

 

 

おまけ:ホワイトデーはなぜ「ホワイト」なのか

 

2つのいわれがあるようです。

①老舗の和菓子屋がチョコのお返しとして提案したマシュマロの色

②全国飴菓子業協同組合がバレンタインデーと対になる日として提唱し、

「純潔のシンボル=白」を名前に付けた

 

いずれにしても、バレンタインのお返しの日として作られた

なんとも日本らしい記念日なのですね。

 

 

AM 8:50  ――― 作業場にて

 

圃場の前に見学させていただいたのは、出荷前の花を扱う作業場です。

トラックには朝に収穫された”ウェディングマーチ”がずらり。

花が痛まないよう浮かせて安置され、出荷日で多い日には3000本にもなるのだとか!

 

 

ここでは茎の汚れをふき取りつつ、茎の長さ、花首の長さを見て

規格ごとに選別をされています。

 

 

 

こうして見ると、花の長さ・大きさ、開き具合にそれぞれ個性があるのが分かります。

カラーは「圃場に残しておけば何でも同じように咲く」というわけではなく、

生やしておいて丸く大きく咲くもの・咲かないものがあるそう。

 

また、温かいと1日半、3・4月にもなれば1日で花が開くので

毎日それぞれの様子をうかがってあげる必要がありそうです。

 

カラーは花びらをもたず、仏炎苞と呼ばれる「苞」を鑑賞します。

同じ仏炎苞をもつアンスリウムのように、あまり動きはない花なのかな?

と思いきや、表情が日ごと花ごとに変わるのですね。

 

 

 

POINT

カラーの咲き方には個性があるため、
収穫するか置いておくか一つ一つ判断が必要。

 

 

規格が揃ったものはまとめてビニール掛け、バケツへ入れて保管場所へ。

この形で市場にやってきます。

 

 

 

ここで取材班はサンダーソニアの球根を発見!

この大きさまで腐らせずに大きくするのは結構な難易度だそう。

毎度種から育てるものだと思っていた筆者は大変驚きました。

 

 

 

(写真右 出典:写真AC)

 

渡辺さんはカラーに限らず色々な草花を栽培されており、

弊社の展示ルームにも度々変わったサンプルをくださっています。

 

実は「ソノサキ」のグロッパも、渡辺さんが生産されたもの。

(⇒【花のソノサキ】植物が繋げるソノサキの、さらに先【お花の追跡レポート②】

 

 

 

 

 

AM 8:50  ――― 圃場見学

 

作業場を後に、カラーのハウスを見学させて頂きました。

広さはハウス一つにつき300坪、外の水路には濁りのない綺麗な水がこんこんと流れています。

 

 

2月にしては温かい日とはいえ、中に入ると暑いほどの温かさ。

日光の熱がしっかり閉じ込められているようです。

ハウス内の気温は夏に涼しく冬に温かい15℃設定で、雪もへっちゃら。

1・2月にも花を咲かせることができます。

 

こちらのハウスで栽培されているのは水生のカラー。

圃場には地下50mからくみ上げられた水が常に張られ、外の水路へと流れていきます。

左の写真は水をくみ上げるポンプ。

 

  

 

カラーはサトイモ科の植物で、土の中で球根を増やし、自力で世代交代をします。

普通の畑なら、頻繁に人の手を入れないと

 

・土が酸性に偏る

・肥料分が不足する/余剰が土地に溜まる

・雑草が繁茂する

・微生物の分布が安定しない

 

…など土の質が劣化し、連作障害がおきてしまうところですが

こちらの畑は球根の植え替え・堀りあげなしで、なんと30年物!まるでワインです。

 

この秘密は、ハウスの外にも流れていた綺麗な水にあります。

常に畑に水を流していることで

 

・酸性の土が中性に戻りやすい

・有害な/余分な物質が流しだされる(古い球根も土に還っていく?)

・土表面の酸素が不足するため、雑草が生えにくい

・土壌環境が安定するため、微生物層も安定する

・水や土壌に含まれる天然の肥料を供給できる

・寒暖差から苗を守る(水は温度変化が小さいため)

 

といった風に、土の状態をいい具合に維持することができるのです。

 

 

 

POINT  

一見変化のないように見える畑では、常に新しい水が流れ

環境が変化し続けることで、むしろ環境がいい具合に維持されている。

 

 

こちらは収穫の様子。根元から引き抜くように収穫するんですね。

こうして花を採りながらそれぞれの様子を見て、綺麗に開きそうなものはおいておくそうです。

 

 

 

葉っぱは一番内側にある成長点から生えてきて、外へ向かうほど古くなります。

新しい葉っぱが生えてくる場所を作るため、定期的に古い葉を掃除するのも

畑のサイクルを回すために大切な作業のひとつ!

 

 

 

蕾がくるくると巻いていますね。

ほぼ開いた状態で咲いてくる陸地性のカラーとは、咲き方の様子も大分違っているようです。

 

 

次に拝見したのは花菖蒲のハウス。

品種の入れ替えがありつつ、こちらも30年物になる畑です。

奥行き50mに5000本の花菖蒲。

これから春に向けてさらに茂っていくそうで、若い葉っぱが大変爽やかでした。

 

 

愛西市となる前の地域の名前、「立田村」からつけられた

「タツタムラ」という名前の花菖蒲もあるのだとか。

 

カラーも花菖蒲も長くこの土地で育ってきたものですが、

豊かな水の流れと生きた土、農家さんのお手入れの賜物なのですね。

 

 

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流れる水の中でリフレッシュし続けるカラー。

花言葉の「清純さ」、洗練された雰囲気は、

そのしなやかな育ち方から醸されているのかもしれません。

 

いつも綺麗なあの人にも、表に見せない土の中での変化や努力があるのかも。

尊敬と感謝の気持ちを込めて、カラーを贈ってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

取材協力:渡辺隆さん、ありがとうございました!!

 

 

 

営業企画部