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花の研究室

2020.11.17花の研究室

【ポインセチア】メキシコの星からクリスマスの花へ

気が付いたらもう11月半ば。世の中が段々とクリスマスモードになりつつありますね。

市場に届くポインセチアの品種と量も増えてきています。

 

ポインセチアといえばこれ!な真っ赤な苞葉と緑の葉、

 

 

 

 

一回り小さく可愛いプリンセチア、

 

 

 

 

黄色やオレンジ、斑入りのものも。

 

 

 

 

 

くるくると巻いている子もいますよ。よりお花っぽい姿に。

 

 

 

 

 

 

 

ポインセチアは仲冬(12月7日~1月4日ごろ)の季語とされているそうで、すっかり日本の冬の風物詩ですね。

 

そんなポインセチアですが、原産地はメキシコの タスコ・デ・アラルコンTaxco de Alarcón) 付近と言われています。

現在では白く塗りそろえられた家々や銀細工、ピンク色の教会と写真映えする観光地になっているみたい。

 

タスコは地図だとこのあたり!

ダリアやプルメリア、サボテンなんかもメキシコが原産です。

 

 

  

 

  (ぜひストリートビューでご覧ください)

 

 

熱帯の花がなぜ世界中のクリスマスに?                             

 

 

タスコは首都のメキシコシティからほど近い街。

かつてこの辺りではアステカ帝国が栄え、先住民たちは服を染める染料をとったり、

白い樹液を解熱剤として使ったりとポインセチアと親しんでいたようです。

(*樹液には毒があり、科学的には効果のほどは不明です。樹液には触らない&口に入れないでくださいね!)

 

アステカの言葉ではcuetlaxochitl(ケトラショチトル?)、「星の花」と呼ばれ、

その鮮やかな色から原住民にとっては純潔さの象徴とされていました。

メキシコの星空の下、たき火の色を映したような真っ赤なポインセチア。

私たちのクリスマスなイメージとは離れるけれど、なんだかしっくりくる気がしませんか?

 

 

 

 

メキシコ高原一帯で栄えたアステカ帝国ですが、16世紀初めにスペインの侵攻によって滅び

18世紀の独立革命までメキシコはスペインの植民地となります。

 

スペイン人とともにヨーロッパの文化が入ってきた17世紀、メキシコに移り住んでいたフランシスコ会の宣教師たちが

「先住民の間で純潔の象徴とされているこの花を使おう」
ポインセチアを降誕祭の装飾に使うことを思いつきます。クリスマスとの結びつきの始まりですね。

 

 

赤はキリストの血、緑は永遠、樹液の白は純潔。美しい形の葉はベツレヘムの星、

とキリスト教的なモチーフが見出され、

スペイン語で「聖なる夜、良き夜」を意味する noche buena(ノチェ・ブエナ)と呼ばれるようになります。

 

(*ベツレヘムの星…キリストの誕生を知らせた星のこと。クリスマスツリーの上の星もこれです)

 

偶然か必然か、あまりに色合いと季節がぴったりなポインセチアの存在は

「神はこの土地で教えを広めることを望まれている」というメッセージだと受け取られさえしたとか。

先住民の方たちも、馴染みのある花を通してキリスト教を受け入れていったのでしょうか。

 

 

 

 

時は流れてスペインからの独立後の1825年、

アメリカの公使 J・R・ポインセットさんが現地メキシコでポインセチアを発見。

そう、この方が「ポインセチア」の名前の由来です。

 

優れた植物学者でもあった彼はこの美しい植物を見逃すことなく本国に持ち帰り、

園芸家の友人知人に贈りました。

これをきっかけに世界各地でポインセチアの栽培&販売が始まったのですね。

 

そしてポインセチアとクリスマスの繋がりはそのままに世界中に広がり、日本にも明治時代に渡来。

ポインセチア=クリスマスというイメージがすっかり定着したようです。

 

*****

 

もしも、メキシコを統治する国がキリスト教国でなかったら?

鎖国中の日本のように、現地での布教が制限されていたら?

ポインセットさんが園芸好きでなかったら?

 

今頃ポインセチアはメキシコの花、星の花として咲き続けていたのでしょうか。

 

 

 

 

誰かが持ち帰った植物がたまたまクリスマスカラ―だったから

「ちょうどいいや、これを売ろう!」と故郷より寒いところで栽培されるようになってしまった切ないお花…

なんて思っていたのですが、

実は日本人が想像するよりも長くて深いキリスト教、そして歴史との結びつきがあったのですね。

知ってみるとポインセチアの鮮やかな赤・緑の色が一層意味深く思えてきます。

 

 

その後1930年代には切花用の生産も始まり、

品種改良を重ねることで観賞期間は長く・カラーバリエーションは多様になっていきました。

 

 

 

ポインセチアはあたたかく育てよう                             

 

はるばるメキシコからやってきた歴史を知ると、温かく大事に育ててあげたくなりませんか?

 

ご紹介したようにポインセチアの故郷・タスコ周辺は熱帯なので、

氷点下を下回るような日本の冬とはかなり気候が違いそうですね。

直近の天気予報もこんな感じです。

 

 

基本は室内で管理、お外の飾りにする時も夜は取り込んであげるといいですね。

ポインセチアが過ごしやすいように、物理的にも温かく育ててあげましょう!

 

 

ポインセチアの冷え対策&ポイント  – – – – – – – – –

 

 

 ①できれば水やりは冷たくないお水で  

 

 冬場は特に水道のお水は冷たくなりがちです。

 根を痛める原因にもなるので、できればぬるめの水をあげましょう。

 

②猫が温まるイメージで 

 

 日中は猫がうとうと日向ぼっこするような、暖かい窓辺に置いてあげるのが◎。

 ただし外気に近い窓辺は夜間に寒くなるので、部屋の中ほどへ移してあげるとベストです。

 猫も夜には窓辺から別の所に移りますよね。

 

 また、ストーブやエアコンの風に直接当たる場所は確かに暖かいのですが、

 ずっと当たっていると乾燥してしまうので避けましょう。

 

 ③しっかりと水切りする

 

 冬場は水を吸い上げにくいため、水をあげたら根腐れ防止のためにしっかりと水切りをしましょう。

 受け皿がある場合は、お水がたまらないよう、忘れず捨ててあげてくださいね。

 

 

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ポインセチアの花言葉は「私の心は燃えている」

育てる時には冷やさないよう、ジメジメしないよう気をつけつつ、
あたたかい華やかなクリスマスを迎えてくださいね。

 

 

営業企画部