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花の研究室
2020.12.30花の研究室
ふるさとのしめ縄、どんなんだっけ?
28日の止市が終わり、ブログも年内最後の記事となりました。
今年度の春から新しい形で動き出したブログですが、お楽しみいただけましたでしょうか?
「いつも読んでいるよ」「面白いね!」とお声がけいただくことがいつも本当に嬉しく、
ありがたいことだなあとしみじみ思い返しております。
読者の皆さまあっての発信ですので、
「あの記事の続きがほしい!」「こんな企画をしてほしい」「調べてわかりやすく教えてほしい」
などご要望ございましたらぜひぜひ教えてくださいね。張り切って書かせて頂きます!
さて、今年のトリ記事は、しめ縄について!
普段生花や鉢物のお花を扱う当市場ですが、
年末にはしめ縄をはじめとしたお正月のお飾りも届きます。
夏には愛知県内のしめ縄農家さんを訪問させて頂いたのも思い出深いです。
今回の年末年始は特殊な状況にありますから、
ふるさとに帰れない、ふるさとの しめ縄を見られないという方もきっと多くおいでですね。
私としても、あまり遠くまで神社や軒先の しめ縄ウォッチングができなさそうなのが残念ですが…
今年はせめて、知ることだけでも!
各県の主要な しめ縄の形を調べて表にしてみました。
九州~北陸地方は少し古めの研究ですが『注連縄にみる伝承形態の調査研究(Ⅰ)~(Ⅵ)』より、
関東~北海道+沖縄県は画像や動画の検索によるリサーチです。
皆さんのふるさと、気になる地方はどんなしめ縄を飾っていますか?
(クリックで拡大できます)
輪締め ——————————————————————————
牛蒡締め(真ん中が太いものは「大根締め」)——————————————————————————
左右で片方が太く、片方が細くなっています。
画像は逆ですが、右側に太いほうをもってくるのが一般的。
一文字締め ——————————————————————————
板締め ——————————————————————————
・神社の鳥居に飾る大きなもの
・「しめ縄リース」のような現代風にアレンジされたもの
は除き、
一般のお家で玄関先などに飾るものをピックアップしています。
こうしてみると、しめ縄の種類はバラバラに分布しています。
どんな しめ縄を飾るか?にはくっきりとした地域の境界線はないようですね。
同じお正月の伝統文化であるお雑煮は
関ケ原あたりで角餅と丸餅に東西はっきりと分かれます。
(こちらのお雑煮分布図が面白いです! 日本列島雑煮文化圏)
形や作り方から考えるに、おそらく
一文字締め ~~> 牛蒡締め ~~> 輪締め・板締め と
地域ごとにデザインが発展したり、しなかったりしたのでしょうね。
昔は一緒に農作業をする小さな地域のコミュニティがあったので、
稲作の作業の一環としてグループ独自のしめ縄を作っていたのかもしれません。
参照の論文も地域ごとのデザインの多様さに注目したものでしたし、
しめ縄のデザインにはかなり自由度があると思われます。
鶴や亀、長崎県ではなんと、
銃や十字架をかたどっているように見えるものも紹介されているくらいです。
たまたまかもしれませんが、驚きですね。
ちなみに長崎県と同じ九州地方の熊本県天草市では、
「キリシタンでないことを示すために一年中しめ縄を飾る」という風習が今でも残っているそうですよ。
出雲大社のある島根県、伊勢神宮のある三重県の一部の地域でも
「結界を張る」意味合いで一年中しめ縄が飾られているようで、
信仰が深く根差している地域らしさがうかがえます。
片方が太くもう片方が細い「牛蒡締め」の向きが一般と逆なのも
この二つの地域にみられる特徴だったりします。
稲わらでしめ縄を作って飾る…という風習に参加することは少なくなっていますが、
近頃だと違う素材で、おしゃれなしめ飾りを作るレッスンが沢山ありますね。
素材が稲わらであることには「豊穣を祈る」といった意味もありますし、
農家さんのこだわりや想いが込められています。
現代風の色とりどりなしめ縄は「伝統を受け継いでいる」といえるのかな?と考えると
ちょっと悩ましいところですが
「時代にあったかたちで残っている」とも言えますし、
「今年一年を締めくくり、来年を迎える準備をする」という意味合いはしっかり受け継がれているのかな、とも思います。
*****
皆さまはおうちにどんなしめ縄を飾られていますでしょうか?
しめ縄用の素敵な青い田んぼを見た私としては、ぜひ国産稲わらのしめ縄を…!
と言いたいところですが、
どんなものであれ、きっと年神様は皆さまのおもてなしに応えてくださると思います。
色々と波乱万丈な2020年でしたが、きっと新しい風が入ってくるでしょう。
それでは、よいお正月を!
2021年、またお会いできるのを楽しみにしております^^
営業企画部