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花の研究室
2020.07.06花の研究室
『リンドウと宮沢賢治』
秋の花、リンドウが届き始めました!お盆の花としてこれからも入荷が続くそうです。
リンドウといえばお盆・仏花というイメージがありますが、私にとっては見つけると嬉しくなる花の一つです。
なぜかというと・・・
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にこんな一節があります。
『ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすすきの風にひるがえる中を、天の川の水や、三角点の青じろい微光の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。
「ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり秋だねえ。」
カムパネルラが、窓の外を指さして云いました。線路のへりになったみじかい芝草の中に、
月長石ででも刻まれたような、すばらしい紫のりんどうの花が咲いていました。』
(『銀河鉄道の夜』)
(月長石=ムーンストーン)
また、別の著作にもこんな描写があります。
『その宝石の雨は、草に落ちてカチンカチンと鳴りました。それは鳴るはずだったのです。
りんどうの花は刻まれた天河石(アマゾンストン)と、打ち劈かれた天河石で組み上がり、その葉はなめらかな硅孔雀(クリソコラ)でできていました。』
(『十力の金剛石』)
(左:天河石=アマゾナイト、右:硅孔雀=クリソコラ)
こんな風に、賢治さんはリンドウなどの野の花を美しい鉱石に例えています。
リンドウの花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」など怖い花言葉として知られていますが、宮沢賢治がこんな風に素敵に表現した花だと思うと親しみを感じますね。
(宮沢賢治童話村の入り口)
賢治さんは自然や植物を愛し、花壇の設計まで手掛けていました。
(左:『宮沢賢治は花壇設計も”よりよい世界の構築”のひとつと考え、たくさんの花壇を設計しました。』、右:作品に登場した植物のアーティフィシャルフラワー)
残された資料を基に作られた花壇が岩手県の『宮沢賢治記念館』の近くに、植物と宮沢賢治についての展示「賢治の教室」が『宮沢賢治童話村』にあるので、もしも機会があればぜひご覧になってくださいね。
リンドウの他にも色んなお花や植物にまつわる展示があって面白いですよ。
営業企画部