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2020/12/09
松竹梅はなぜめでたいのか?

 

12月6日は年に一度の 松市 でした!!

現場には松・松・松…

 

 

普段の競りではお見掛けしない買参人の方にもお会いでき、嬉しゅうございました!

 

 

 

さて、いよいよ年末年始。

お正月のめでたいモチーフといえば 、松竹梅 ですね。

 

新年会のイラスト「合コン」

 

日本人になじみ深い 松竹梅 の取り合わせですが、

なぜ「めでたく」て「松・竹・梅の1セット」なのでしょうか?

 

 

 

『松竹梅』はどこからきたのか                             

 

 

中国の南宋から始まった「歳寒三友」が、松・竹・梅の取り合わせの由来といわれます。

歳寒三友は「冬の寒い時期に友とすべきもの」という意味で、

文人画(画家ではない人が趣味で描く絵)の画題の一つ。

 

文人が描くテーマというだけあって

「清廉・潔白・節操など文人の理想、君子の美徳を表すもの」

と尊ばれていたようです。

 

 

孫武の似顔絵イラスト

   (文人のイメージ)

 

 

日本には豊臣秀吉の朝鮮征伐の際に伝わったと思われ、

最初は中国の「歳寒三友」のイメージ通りの高尚な感じで漢詩に詠まれていました。

現代日本での「松竹梅」よりもなんだか固くて高尚な雰囲気ですよね。

 

 

中国での高尚なイメージが、日本に渡ったあとにどんな風に変わって今に至るのか?

を松・竹・梅それぞれについて見てみましょう。

 

 

 

 

    松の盆栽のイラスト

 

中国では「厳しい寒さに耐え己を貫く、君子の堅固な節操・長寿繁栄」の象徴とされ

その思想を取り入れて、日本でも「君子の節操」「不屈な品格」

と松を結びつけた漢詩が多く読まれました。

 

しかし和歌になるとこの二つよりも「長寿繁栄」のイメージが重視され、

さらに神様を迎え「待つ」木、神霊が宿る木、と日本土着の信仰と結びついたようです。

 

 

 

 

  かぐや姫のイラスト(竹取物語)

 

霜雪の中でもすっくと立つことから、

中国では「不変・不屈な節操 世俗に染まらない文人の高貴さ」

にょきにょき新しい芽を伸ばす生命力の強さから「繁栄」を表しました。

 

日本でも風流・気品、子孫繁栄の代名詞として扱われていますが

「君子の不屈な品格・謙虚さ」といったイメージは、文学にほとんど取り入れられなかったようです。

 

 

 

  うぐいすのイラスト

春の到来を告げる花として中国で古くから親しまれる花で、

松・竹と同様に「厳しい寒さにも耐える君子の節操」を表しました。

 

ところが松・竹とは異なり日本には自生しない花であったため、

いにしえの日本人にとっては梅=憧れの中国文化

君子の節操…という意味はさておいて、日本では見た目の華やかなイメージだけが取り入れられたようです。

 

 

 

 

  全体に、松竹梅の

 「君子文人はこうあるべきだよね」という意味合いは日本では重要視されず

 「寒さの中でも強いし、華やかでめでたい」という見た目から受ける印象が

  ありがたがられている、といえそうですね。

 

 

 

松竹梅が本格的に庶民に浸透したのは江戸時代といわれ、

お正月以外にも雛祭りや婚礼・出産などの慶事に使われるようになるなど

この頃にはもうすっかり縁起物の扱いになっていたようです。

 

『なんだかよく分からないけど、めでたいんだな!』といったところでしょうか。

なんとも日本人らしいというか江戸の人達らしい、大らかさと柔軟さですね。

 

 

 

雪の中でも緑を保つ神秘、その理由                             

 

とはいえ、「文人の高貴さ」「君子の節操」と言われても

今の私たちにもピンときませんよね。

 

ここは「寒い中でも緑を保ち、花を咲かせる」ということ、その理由に注目して

松竹梅のありがたさを感じてみましょう。

 

 

———————–

 

 

松:いにしえからの知恵で

 

 

松は「裸子植物」という植物の進化の歴史では古い仲間の植物です。

進化した「被子植物」の出現により寒い地域や山の上に追いやられた松ですが、

裸子植物ならではの寒さに強い身体を生かして生き残りました。

 

 

 

裸子植物は「仮道管」という組織で水を運搬します。

上下左右で隣り合う細胞同士が繋がっており、細胞から細胞へバケツリレー式に水を上へ運んでいくのです。

 

バケツリレーのイラスト(水)

 

(この列が横にもあるイメージ)

 

 

一方、被子植物の多くは「道管」という水道管のようなパイプで水を運搬します。

これは縦に並んだ細胞が死んで中身が空洞になり、一本の管になったもの。

 

 

道管の中の水が凍って、再び溶けると管の中に気泡が生じます。

気泡によって水の一筋の繋がりが途切れると、上部は蒸散によって上へ吸い上げられ

また下部は重力によって地面へ押し下げられてしまい、それ以上水を吸い上げられなくなるのです。

寒さによる凍結は、被子植物にとって致命的なことなのですね。

 

水道管の凍結のイラスト

(凍る水道管・・・)

 

 

一方で松がもつ仮道管では、一か所が凍結→気泡が発生しても別のルートから水を伝えることができるため、

凍結に強い構造であるといえます。

 

 

 

仮道管は進化の過程では古い構造の組織ですが、

松はこの古いものをうまく使うことで雪の中でも緑を保っているのですね。

日本では「古事記」に登場するほど古くから親しまれている松らしい戦略かもしれません。

 

また、同じく冬の葉と赤い実が美しい千両なども「仮道管」の仕組みをもっているようですよ。

 

 

 

 

竹:巨大生物の生命力で

 

 

竹は冬~春の間も葉をつけたままで、タケノコが大きく伸びる頃に落葉します。

(新しい芽に光を当てるためと言われます)

 

 

竹やぶのイラスト(背景素材)

 

 

実は近くの竹同士はすべて土の中で繋がっており、竹林全体で一つの生き物。

張り巡らせた地下茎に養分を蓄えているため、地上部が多少ダメージを受けたとしても

関係なくタケノコ(新芽)が出せるので、葉がついていても ついてなくても構わないのかもしれません。

 

 

 

梅:寒いからこそ花を咲かせる

 

梅は冬に葉を落としますが、残された花芽は一定期間寒さにあたることで休眠から目覚めます。

花を咲かせるためには、冬の寒さがむしろ必要なのですね。

 

 

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松竹梅の力強さ、感じていただけましたでしょうか。

松市で旅立っていった松たちが、新しい年と共にどんな作品に生まれ変わるのか、

今からとても楽しみにしております。

 

年末年始の山場。一緒に駆け抜けて参りましょうね!

 

 

営業企画部

 

 

 

参考文献:

 

日中「松竹梅」の比較研究 : 梅のイメージを中心に 韓雯
http://hdl.handle.net/10911/3240

 

竹にとっての「春」と「秋」は普通とは逆?

https://benesse.jp/kyouiku/201505/20150508-8.html#:~:text=%E7%AB%B9%E3%81%AF%E3%82%A4%E3%83%8D%E7%A7%91%E3%81%AE%E5%B8%B8%E7%B7%91%E6%A8%B9%E3%81%A7%E5%A4%9A%E3%81%8F%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E7%AB%B9%E3%81%AE%E8%91%89%E3%81%AF,%E3%81%A0%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

 

 

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